二ノ宮久里那 滞在制作








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制作日記より抜粋



2019年7月2日 火曜日 曇り

制作場所に着く
小さな戸を開け限りなくはしごに近い階段を登る

電気はつけずに過ごす
椅子に座って西の壁によりかかる
陽光は雲でぼやけている 柔らかい光が入ってくる
空間の面積に対して窓の面積が大きい 部屋の中の陰は浅い

東と北にある窓には石目模様のすりガラスがはまっている
隣の飲み屋から時々大きな話し声がする 東の窓の右側を半分開けて身を乗り出す
人は見えない 話し声だけが聞こえる
開けた窓はそのままにしておいた

机が一つと椅子が三つある 壁にその影が映っている

周囲が静かになった
部屋の中の陰影を注意深く見渡す 濃淡の表情が豊かだ 空間に凹凸が多い
境目なく濃淡が変わっていく所
鋭く濃淡が分かれている所
陰と影が混じってどちらがどちらか判別できない所

横に細長い空を見上げると雲の向こうに丸い太陽の気配があった
東の窓から直射日光が入る時間帯だ

不意に「秘密基地」という言葉を思い起こす

東の窓から床に小さな影が落ちる

時々窓の外に蜂が一匹やってくる
古い木の柱に向かってしばらく黙々と作業をしたらいなくなる 中には入ってこない

小さな影が消えた 太陽の気配が屋根の向こうへ行ってしまった

近隣のお店が騒がしくなってきた この街には夜型の気がある 部屋の中の陰が深くなった

陽光が東向かいにある建物のオフホワイトの外壁に反射して入ってきた 陰の深さがやわらぐ
机上の紙が横から照らされてその肌理が浮き立つような陰を纏った
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二ノ宮久里那 滞在制作

公開制作期間 7月22日(月)〜 30日(火)



東京都杉並区高円寺南3-44-18

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テーマの著者 Anders Norén